理想的な全身麻酔は鎮静意識の消失筋弛緩鎮痛、これら4項目をバランスよく満たす必要があります。しかし、単一の麻酔薬ではこれら4項目をバランスよくカバーできないため、4項目全てをみたそうとすると非常に大量の麻酔薬を使用する必要性が生じ、不必要に麻酔が深くなる危険性が出てきます。

異なる作用の薬物を複数同時に用い、これら4項目をバランス良くカバーする麻酔法をバランス麻酔と言います。

また、術中、術後において疼痛管理は欠かせないものです。疼痛管理を行うことで、麻酔薬の投与量を減量できるだけではなく、術後のストレスを減らし、治癒を早めることが可能です。

疼痛管理を行う場合も、麻酔薬同様に異なる作用機序の薬物を組み合わせることで、単独の鎮痛薬よりも強力な鎮痛作用を少ない投与量で達成出来ます。この概念をマルチモーダル鎮痛療法と呼びます。

当院では、このバランス麻酔マルチモーダル鎮痛療法の概念に基づいて全身麻酔を行なっています。

全身麻酔中には、高度麻酔モニターによる心拍数、血圧、体温、呼気二酸化炭素濃度、血中酸素飽和度の監視を行い、軽微なバイタル変化にも迅速に対応できるようにしています。

 

全身麻酔、疼痛管理について

全身麻酔に使用する薬剤(例)



前処置薬

  1. -NK1受容体拮抗薬

  2. -トランキライザー(抗不安薬)

  3. -オピオイド
    (麻薬系・非麻薬系鎮痛薬)

  4. -NMDA受容体拮抗薬
    (ケタミン)


前処置薬投与後

プロポフォールにて導入

イソフルラン(ガス麻酔薬)にて麻酔維持

閉創時にロピバカインによる長期間作用局所麻酔薬を使用


※オピオイド(フェンタニル、ブトルファノール)、ケタミンなどの鎮痛薬は定量静脈持続点滴により術中、術後も継続投与を行います。